First Steps in SAP ファーストステップSAP入門
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SAPの基本を知るのに400ページの本を読みたいですか?もっと簡単に知りたいなら、この本がオススメです。本書はエッセンスだけに絞っており、難しすぎる内容を大胆に省いています。ステップを1つ1つ解説しながら、SAP ERPシステムの操作方法、トランザクション、組織ユニット、マスタデータを解説しています。産業別ソリューション、プログラミング言語であるABAP、EHP(エンハンスメントパッケー
ジ)についても触れています。
SAP ERPだけでなく、BI、CRM、SRM、SCM、GRC、NetWeaver、SuccessFactors、HANAについても紹介します。SAP業界によく出てくる用語やSAP ERP以外の製品について知識をつけたい方にもオススメです。
- ERPの概要、SAPの歴史
- SAP ERPの操作方法
- トランザクション、組織ユニット、マスタデータ
- ERP以外のSAP製品と最新トレンド
Leseprobe
2-1 ナビゲーション/ユーザインタフェース
SAP ERPにはたくさんのトランザクションがあり、それらを使うためのナビゲーション機能も豊富です。この章ではたくさんあるメニューやボタンをどのように使いこなすかを説明します。まずはログオン方法に始まり、メニューバー、ステータスバー、メニューツリー、お気に入り機能の使い方を説明し、最後にログオフ方法をお伝えします。
2-1-1 ログオン方法
前にも述べた通り、SAPはクライアント・サーバ型のシステムなので、複数のユーザがシステムに同時にアクセスできます。システム自体は1つ、または複数のサーバ上で動作します。サーバはクライアントと呼ばれるコンピュータに対して、サービスを提供するコンピュータのことです。SAPシステムで言うサービスとはデータベースを動作させること、プログラムを処理すること、サーバに対してアクセスしようとするクライアントに接続許可を与えることなどがあります。
SAPサーバへの接続
SAPシステム上で作業できるのはクライアント(自分のPC)からサーバのどれかにネットワークを経由して接続しているときだけです(ネットワークはインターネットか社内LAN経由になるでしょう)。SAPで作業した内容はクライアントではなく、サーバ上に保存されます。つまりログオフしたり、ネットワークから切断したりする前にデータを保存しておく必要があるということです。そうしないとせっかく入力したデータは消えてしまいます。
SAPシステムにログオンするには、SAP Logonというプログラムを使うか、SAP LogonPadというツールを使う必要があります。(図 2.1参照)。SAP LogonPadでは接続できるSAPシステムを確認できます(下の図では1つだけです)。ログオンしたいシステムを選択し、ログオンボタンをクリックします。システムをダブルクリックしても構いません。
図 2.1:SAP LogonPad
次にログオン画面が表示されます(図 2.2参照)。その画面上で、まずクライアントのIDを入力する必要があります。クライアントはSAPシステムの中で最も上位の組織ユニットで、複数の会社のデータを別々に管理するために使用されます。組織ユニットについては2-4章で解説します。この例ではクライアント850にログオンしようとしています。次に通常、システム管理者から発行される、ユーザIDと初期パスワード、さらに言語を入力します。この例ではJA(日本語)です。
図 2.2:SAPログオン画面
それらの入力が終わったら、キーボードのEnterキーか画面左上の ボタンを押します。
パスワードを間違えた場合
パスワードを3回連続で間違えて入力した場合、そのユーザはロックがかかってしまう可能性があります。その場合はシステム管理者に連絡してアンロックしてもらう必要があります。
そのクライアントに初めてログオンするとき、パスワードを変更するように求められます(図 2.3参照)。新しいパスワードを2回入力してください。SAPのパスワードは大文字と小文字を区別しますので注意してください。
図 2.3:パスワード変更画面
ログオンに成功すると、SAPのメイン画面が表示されます。これでSAP ERPを操作する準備ができました。
2-1-2 SAP ERPのユーザインタフェース
SAPのメイン画面のことをSAP Easy Accessと呼びます(図 2.4参照)。この画面はたくさんの要素で構成されており、今から説明していきます。
図 2.4:SAP Easy Access
画面上部にメニューバーがあります。画面によって表示されるメニューが変わりますが、システムとヘルプはどの画面でも表示されます。システムの中の選択肢から(図 2.5参照)、パスワード変更ができたり(ユーザプロファイルを使用します)、会社コード、日付書式、小数点表示、デフォルトプリンタなどのパラメータのデフォルト値の設定をしたり、様々なことができます。
図 2.5:システムメニュー
ヘルプの下にある選択肢から、SAPのオンラインヘルプを呼び出すことができます。ヘルプ • アプリケーションヘルプ、もしくは、ヘルプ • SAPライブラリを選ぶと、SAPシステムについての詳細な情報を調べることができます(図 2.6参照)。
図 2.6: ヘルプ • SAPライブラリ
メニューバーの下にファンクションバーがあります。いくつかのアイコンがあり、様々な操作をできます(図 2.7参照)。ENTERボタンはすでに説明しました。入力した内容を確認するときに使用します。次にあるのがコマンドフィールドで伝票入力などのトランザクション画面を呼び出すためのコードを入力することができます。使い方は後ほど説明します。トランザクションを終了して、データを保存したいとき、 保存ボタンを押します。前画面(戻る)
、中止、終了
ボタンは画面遷移に使用します。 前画面(戻る)ボタンは一つ前の画面に戻ります。中止ボタンは現在のトランザクション画面を保存せずにそれまでの画面のいずれかに戻ります(画面の仕様によります)。終了ボタンを押すとメイン画面に戻ります(この場合も保存されません)。印刷ボタンでプリンタへデータを送信することができます。検索
ボタンは現在の画面上でキーワード検索をすることができます。
図 2.7:ファンクションバー
ナビゲーションボタンは何ページもある帳票でページを移動するのに使用します。新規セッションボタンを押すと、新しいウィンドウが立ち上がります。一つ一つのウィンドウをセッションと呼び、複数の処理を同時に実行することができます(例えば、最初の画面で時間のかかる帳票を出力させている間に別のセッションで他の処理をすることができます)。デフォルトでは、同時に6セッションまで使うことができますが、システム管理者はこの制限を16セッションまで増やすことができます。ショートカットボタンを押すと、現在の画面を呼び出すリンクがデスクトップに作成されます。都度メニューツリーをたどらず、トランザクション画面を呼び出すことができます。ヘルプボタン
は前に説明したヘルプ画面へ遷移するためのボタンです。最後にカスタマイズローカルレイアウトではフォントなど画面の見た目を変更することができます。
画面下部にあるのはステータスバーで現在接続しているサーバ、現在使用しているトランザクションコード、現在実行中のプログラムなどの情報が表示されます。リストボタンを押すとポップアップが表示され、多くの項目を確認することができます(図 2.8参照)。
図 2.8:ステータスバー
もう一度リストボタンを押すと、ポップアップが閉じます。次に説明するのはメニューツリーの使い方です。
2-1-3 SAP ERP上のナビゲーション
SAPのユーザインタフェース(画面)のほとんどがメニューツリーに含まれており、図 2.9にあるようにSAP ERPの様々なモジュールのトランザクションを呼び出すことができます。この図ではG/L勘定伝票入力(Enjoy)のメニューパスを表しています。立方体のアイコンのある行をダブルクリックすると画面を呼び出すことができます。
図 2.9:メニューツリー
少し前に触れた内容ですが、トランザクションコード をショートカットのように使うことができます。それを使用するにはコマンドフィールドに呼び出したい画面のトランザクションコードを入力します(図 2.10参照)。 トランザクションコードを使用するとメニューツリーをたどることなく、使用したいトランザクションの画面を呼び出すことができます。
図 2.10:トランザクションコードのコマンドフィールドへの入力
しかし、この機能を使うにはコードを覚えていないといけません。トランザクションコードは実はメニューツリーが登場する前、初期のSAPで使用されていた古い機能です。現在はそれらのコードを覚えるより、メニューツリーのほうが特に初心者には使いやすいでしょう。ただ、ベテランのユーザはよく使うトランザクションコードをたくさん覚えています。
ほとんどのトランザクションコードはFB01のように4桁の英数字で構成され、1桁目はモジュールを表し(Fなら財務会計モジュール)、2桁目はモジュール内の特定の機能を表します(BはBelegという伝票を表すドイツ語の頭文字)。残りの2桁は以下のことを示します:“1”で終わる場合、登録を表します(例えば、伝票、得意先マスタ、品目マスタの登録)。“2”は変更、“3”は照会、“4”は削除を表します。トランザクションの数が膨大になったので、このルールは今はもう厳格には適用されていないようです(例えば、上の例にある“FB50”はかなり新しいトランザクションですが、このルールに従っていません)。またいくつかの文字はドイツ語から来ているので、ドイツ人以外だと、コードの意味を推測するのが難しく、あまり役に立たないでしょう。
ステータスバーで現在の画面のトランザクションコードを確認することができます(図 2.8参照)。また、メニューツリー上にトランザクションコードを表示するように変更することもできます(図 2.9参照)。メニューバーの補足 • 設定から技術名称表示(図 2.11参照)をチェックします。
図 2.11:設定画面
よく使うトランザクションをお気に入りとして登録することができます。お気に入りに登録したトランザクションはメニューツリーの上に表示されます(図 2.12参照)。お気に入りに登録するには、メニューツリー上のトランザクションを選択した状態で ボタンを押します。
図 2.12:お気に入りの登録方法
別の登録方法としては、メニューツリー上のトランザクションを選択して右クリックし、さらにユーザ定義に追加をクリックします(図 2.13参照)。
図 2.13:お気に入りの登録方法②
メニューバーのユーザ定義を使う方法もあります。追加、編集だけでなく、ダウンロードやアップロードも可能ですので、他のクライアントやサーバにも移行することができます(図 2.14)。
図 2.14:お気に入りの登録方法③(ユーザ定義メニュー)
最後にご紹介する方法はメニューツリー上での操作ではなく、登録したいトランザクションの画面上に既にいる場合に使用できるものです。メニューバー上でシステム • ユーザプロファイル • ユーザ定義拡張を選択します(図 2.15参照)。
図 2.15:お気に入りの登録方法④(ユーザ定義拡張)
ここまでSAP ERPのナビゲーションを見てきました。次はログオフ方法を説明します。
2-1-4 SAP ERPのログオフ方法
SAP ERPシステムからログオフするには、ウィンドウを閉じるだけで大丈夫です。ただし、複数の画面(セッション)を起ち上げている場合、すべてのセッションを閉じる必要があります。たくさん起ち上げているときはシステム • ログオフを使用してもよいでしょう(図 2.16参照)。またトランザクションコード/NEXを使ってもログオフすることができます。
図 2.16:ログオフ方法
保存ボタンを押すのを忘れないように!
ログオフする前に、作業中のものがないか確認するようにしましょう。SAPは保存せずにログオフしようとするとき、警告メッセージを出してくれます(図 2.17参照)。
図 2.17:保存していないデータへの警告
2-1-5 最新のSAP ERPユーザインタフェース
ここ最近、SAPはいくつかのユーザインタフェースの新技術を導入しました。顧客からのフィードバックや要望に応じて導入したもので、今後さらに新しい技術も導入される予定です。ここではSAP Screen Personas、SAP Fiori、そしてSAP UXデザインサービスをご紹介します。SAP ERPの画面レイアウトを変更したり、シンプルにしたりすることで、ユーザトレーニングの時間を減らすことができるだけでなく、業務の生産性も向上させることができます。
SAP Screen Personas(ペルソナ)
SAP Screen PersonasはSAP ERPの画面をプログラミングすることなく、カスタマイズすることのできるプラグインツールです。不要な項目を非表示にしたり、同じ値を繰返し入力する項目を自動入力させたり、フリーテキストの項目に対し、選択肢から選ばせるようにするためのドロップダウンリストを用意したり、複数のタブの内容を1つのタブ上に表示させたり、画面の色やイメージを変えたり、操作を直観的に行えるように画面のレイアウトを変更したりすることができます。Personasでは、ユーザに変更権限を付与することもでき、個々のユーザが必要に応じて、出力する項目を増やしたり減らしたりすることもできます。図 2.18はPersonasを使って画面をシンプルにした例です。
図 2.18:Personasで変更した画面
SAP Fiori
SAP Fioriはスマートフォンにも使用されているアプリケーションやタイルというオブジェクトを用いた新しいユーザインタフェース技術です。最新トレンドの画面デザインが採用されており、その一つとして、Launch Padと呼ばれる、様々な操作をするときの起点となる画面を使用することができます。ユーザが使用することのできる画面やアプリケーションは従来のロール(複数の権限設定を管理しやすいようにまとめたもの)や権限設定で制限できます。様々な業務領域でアプリケーションが豊富に用意されていますが、それらにはTransactional apps、Fact sheets、Analytical appsの3種類があります。それらのアプリは以前のものより、かなり使いやすくなっています。
Transactional apps はタイムシートの承認や入金の消込、受注伝票登録など、取引や伝票を登録するのに使用されるものです。Factsheets は業務に関する情報を表示するためのもので、製造指図の進捗状況や品質検査通知などの情報を表示させることができます。Analytical apps は売上の速報値や分析結果を表示させることができ、滞留在庫、売上高、在庫数量などのKPI(Key Performance Index)を随時確認することができます。図 2.19はFioriアプリのサンプルで、PCだけでなく、スマホやタブレット上でも使用することができます。
図 2.19:様々な端末で使用できるFioriアプリ
SAP UXデザインサービス
SAP UXデザインサービスはビジネスにおけるユーザエクスペリエンスを向上させる各種技術を組み合わせることのできるポートフォリオです。FioriやPersonasなどを組み合わせることで、ユーザインタフェースについて統一感を持たせることができます。